【管理栄養士が教える】離乳食は鉄分が不足しがち?積極的に補える食材やおすすめレシピをご紹介!
離乳食が進むと赤ちゃんは鉄分不足になりやすい?
赤ちゃんの離乳食が始まると、栄養バランスなども気になりますよね。鉄が多く含まれるフォローアップミルクや子ども向けの鉄サプリが販売されるなど、特に鉄の摂取について心配されている方も多いかもしれません。
満期産で出生時体重3 kg 以上の新生児は、生後4ヶ月ころまでは体内に貯蔵されている鉄を利用しているため、赤ちゃんの鉄欠乏に注意したいのは、生後6ヶ月以降、乳児期の後期(離乳期)です。
6〜18 か月のお子さんの貧血有病率は8%と言われ、貧血の有無や程度について、気をつけてみていくようにしましょう。貧血がみられた場合には、必要に応じて 乳児用調製粉乳などを用いて鉄の補給を考慮する必要があると言われています。
(参考:日本人の食事摂取基準2020年版)
鉄分不足になると起こりやすい症状
鉄不足の場合、顔色がよくない、食欲がない、元気がない、不機嫌などの症状がみられると言われていますが、乳幼児期の貧血はゆっくりと進行し、症状が明確でないこと、また、自分で症状を訴えることが難しいため、なかなか見つけにくいと言われています。
離乳食に鉄を多く含む食材を取り入れ、鉄不足にならないように工夫していきましょう。
赤ちゃんに必要な鉄分の目安量
乳幼児に必要な鉄の摂取量はこちらです。
<生後6ヶ月〜11ヶ月>
男児:推定平均必要量3.5mg、推奨量5.0mg
女児:推定平均必要量3.5mg、推奨量4.5mg
<1歳〜2歳>
男児:推定平均必要量3.5mg、推奨量4.5mg
女児:推定平均必要量3.5mg、推奨量4.5mg
(厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)より抜粋)
推定平均必要量:50%が必要量を満たすと推定される1日の摂取量
推奨量:ほとんどの人(97~98%)が1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量
離乳食で効率よく鉄分を摂取するポイントは3つ
鉄の摂取量を数字でみてもあまりイメージがわかないですよね。離乳食で上手に鉄を摂取するためのポイントを3つご紹介します。
ポイント1:ヘム鉄を含む食材を積極的に与える
鉄には動物性の食品に含まれるヘム鉄と植物性の食品に含まれる非ヘム鉄の2種類あります。鉄は吸収率の低い栄養素ですが、ヘム鉄のほうが非ヘム鉄に比べて吸収率が高いと言われているため、ヘム鉄を含むレバーや赤身肉など、動物性の食品を取り入れるようにしましょう。
ポイント2:ビタミンCも一緒に摂取する
鉄の吸収を助けてくれるのがビタミンCです。いちごやオレンジなどのフルーツ、ブロッコリーやピーマン、さつまいもなど、ビタミンCを含む食材を合わせてとれるように工夫しましょう。
ポイント3:さまざまな食材を取り入れる
鉄はいろいろな食材に含まれています。何か1つの食材からとろうとするのではなく、いろいろな食材を組み合わせて摂取できるとよいでしょう。鉄を多く含む食材を知っておくことが大切です。
離乳食に使用できる鉄分の多い食材
鉄を多く含み、離乳食に活用できる食材をご紹介します。
(離乳初期〜)
きなこ、ほうれん草、小松菜など
(離乳中期〜)
納豆、高野豆腐、レバー、豆乳(加熱して与える、そのまま飲む場合は完了期〜)など
(離乳後期〜)
ひじき、切り干し大根、牛赤身肉など
(離乳完了期〜)
あさり、しじみ、きくらげなど
管理栄養士が教える!鉄分をしっかり補える離乳食レシピ3選
レシピ1.りんごとレバーのペースト(離乳後期)
<材料(15g✕5食分)>
鶏レバー…50g
玉ねぎ…25g
りんご…25g
水…120ml
しょうゆ…小さじ1/4
牛乳…適量(下処理用)
<下準備>
・鶏レバーは牛乳に浸して臭みをとり、下茹でし、5mm角に切っておく。
・玉ねぎは皮をむき、5mm角に切っておく。
・りんごは皮をむいて芯を除き、5mm角に切っておく。
<作り方>
①鍋に鶏レバー・玉ねぎ・りんご・水を入れ、柔らかくなるまで煮る(沸騰後アクをすくい、弱火〜中火で水分を飛ばし切るイメージ)。
②しょうゆを加え、全体に馴染ませる。
③フードプロセッサーに入れ、滑らかになるまで撹拌する(約1分)。
④器に盛り付ける。
★冷凍で1週間保存可能
レシピ2.じゃがいもで作る青椒肉絲(離乳後期)
<材料(5食分)>
牛薄切り肉(赤身)…50g
じゃがいも…40g
ピーマン…40g
ごま油…小さじ½
だし汁…80ml
しょうゆ…小さじ¼
水溶き片栗粉
片栗粉…小さじ¼
水…小さじ½
<下準備>
・牛薄切り肉は細かく切る。
・じゃがいもは皮をむいて芽を取り除き、長さ1cmのせん切りにする。
・ピーマンはヘタと種を取り除き、長さ1cmのせん切りにする。
<作り方>
①フライパンでごま油を熱し、牛薄切り肉を入れ、火が通るまで炒める。
②じゃがいも、ピーマンを加え、サッと炒め、だし汁を加え、柔らかくなるまで煮る(弱火〜中火約3〜4分)。
③しょうゆを加え、サッと炒める。
④水溶き片栗粉を加え、とろみをつける。
★冷凍で1週間保存可能
レシピ3.ほうれん草とひじきのごま和え(離乳完了期)
<材料(5食分)>
ほうれん草…100g
にんじん…40g
芽ひじき…2g
A
白ねりごま…15g
砂糖…小さじ½
しょうゆ…小さじ½
白すりごま…小さじ½
<下準備>
・にんじんは皮をむき、長さ1cmのせん切りににする。
・芽ひじきは水で戻す。
<作り方>
①鍋に湯を沸かし、ほうれん草を柔らかく茹でる(弱火〜中火約5〜6分)。
②水にさらしてしっかり水気をしぼり、長さ1cmに切る。
③にんじん、芽ひじきは柔らかく茹でる。
④ボウルにAを入れ、よく混ぜる。
⑤②、③を加え、和える。
★冷凍で1週間保存可能
離乳食鉄分に関するよくある3つの質問
質問1.赤ちゃんに鉄分はなぜ重要?
鉄は赤血球の成分である、ヘモグロビンを構成する栄養素です。全身に酸素を運ぶ、大切な役割を担っています。
また、鉄欠乏は神経の発達にも影響があると明らかになってきています。生後6ヶ月〜24ヶ月の鉄欠乏は、知能の低下や注意・運動・認知・行動面の機能低下、睡眠覚醒リズムの乱れなどに影響していると言われています。
(小児科臨床72(2)乳児期の鉄欠乏について - 神経発達, 神経症状を中心に - 佐々木万里恵, 高橋孝雄慶應義塾大学医学部 小児科より)
質問2.離乳食初期から鉄分不足に気をつけた方がいい?
生後6ヶ月〜24ヶ月で鉄が不足しやすくなると言われています。離乳初期での栄養摂取はそのほとんどが母乳や育児用ミルクからですが、離乳食のメニューには、きなこやほうれん草など、鉄を含む食品も取り入れられるとよいでしょう。
質問3.離乳食における鉄分以外の注意点は?
離乳食は栄養摂取に目が行きがちですが、母乳や育児用ミルクを飲むことしかできなかった赤ちゃんが、約1年間かけて、少しずつ食べる練習を重ねていく大切な期間です。
栄養摂取も大切ですが、モグモグと固形のものを食べる力が身についているかなど発達をみたり、いろいろな食材の味に触れ、味覚を育てる、食習慣を身につける、生活リズムを作る、食べる意欲を育てるなど、基本的なことを大切に、赤ちゃんの成長に合わせて進めていきましょう。
まとめ
乳幼児期に不足しやすいと言われる鉄について、上手に鉄を摂取するポイントやレシピをご紹介しました。離乳食では数字にとらわれすぎてしまうと、食べてくれないことがストレスになるなど、赤ちゃんにとってもママにとっても、食事が楽しくなくなってしまいます。
まずは気負わず、今しかない、赤ちゃんとの離乳食の時間を楽しんでくださいね。その上で、いろいろな食材を取り入れることで、鉄やビタミン、ミネラルなど赤ちゃんに必要な栄養素がとれるように工夫していきましょう。