幼児期の子どもの食事のポイントをまとめて解説
幼児期は味覚や食嗜好が培われ、食習慣の基盤が作られる大切な時期です。
また食事に関していろいろな悩みが出てきて、それが原因で食事中にイライラしてしまうこともありますよね。ママ・パパが子どもの食事に関して特に困っていることは「好き嫌い」「遊び食い」などがあります。
子どもがおいしく楽しく食事をするためには、子どもの成長に合った食事と、食べる意欲を上手にサポートしていくパパ・ママの姿勢が大切です。それには、幼児食の知識と併せて気持ちの余裕があるといいですね。幼児食を作るときのポイントやおやつを選ぶときのポイント、困りごとについて解説します。
幼児期の食事の重要性
離乳食が完了したら、すぐに大人と同じものが食べられるわけではありません。
乳児・幼児の体の機能の成長・発達は著しく、食べられるものの形態は大きく変わっていきます。また味覚や食嗜好の基礎が培われ、食習慣の基盤が作られる時期です。
「噛まない」「なかなか飲み込まない」「吐き出す」「好き嫌い」「食わず嫌い」など、離乳食は順調だった子どもが幼児食でつまづくこともよくあります。
大切なことは発達をしっかりと見極め、発達段階に合った食べ物を与えることです。そうすることで、食事トラブルが起こりにくく、スムーズな成長・発達が期待できるようになります。難しく考えすぎずに子どもの成長をじっくり見つめ、その時期に合った食事を与えていきましょう。
幼児食を作るときのポイント
調味料は控えめにして薄味を心がける
口の中には味覚をとらえる味蕾(みらい)細胞がたくさんありますが、その数は子どもの方が大人より多いといわれています。味付けは大人の半分を目安にします。大人もこの時期一緒に薄味を心がけ、味付けを見直しましょう。
離乳が完了し幼児期になると、香辛料を除くほとんどの調味料を使うことができるようになります。ケチャップやマヨネーズを隠し味として少量加えたり、薄く水でのばしたものをゆで野菜に付けて味の変化を楽しんだりすることができます。
食べやすい固さ・大きさを心がける
幼児の体の機能の成長・発達は著しく、食べられるものの形態は大きく変わっていきます。咀嚼能力がまだ未熟な1~3歳の子どもが食べる・食べないという反応を示すのは、味が好きだとか嫌いだとかというよりも、食べものの口あたりやかたさ、大きさなどに起因していることが多いです。成長段階に合わせた、食べやすい固さ・大きさを心がけましょう。「噛まない」「なかなか飲み込まない」「吐き出す」「好き嫌い」「食わず嫌い」などのトラブルを防ぐことにもつながります。
〈固さ・大きさの目安:18ヶ月~3歳〉
嚙み切りにくいもの、かたいものは切り込みを入れて嚙み切りやすくします。野菜は2~3㎝程度に切りにし、繊維を断つように切ります。肉や魚は表面を小麦粉やてんぷらの衣などで覆ってから焼く、揚げるなどの調理を行うと、かたくなることを防げます。またこの時期になると、自分でスプーンやフォークが使えるようになります。スプーンで食べるならすくいやすい大きさ・濃度のもの、フォークなら刺しやすいかたさ・大きさにします。
〈固さ・大きさの目安:3~5歳〉
かたさは大人と同じかやわらかめ、大きさは大人より少し小さめにします。ときにはわざと繊維を残して、噛む楽しさを覚えさせることも大切です。
いろいろな食材を食べる経験を与える
この時期はいろいろな食べ物の味を知ることが大切です。食べ物に対する好みは、食経験の情報が脳に記憶として刻みつけられることによって決まるといわれています。記憶は3~4歳ころから確立するといわれていますので、この後加齢とともに食体験がどんどん広がっていけば、子どもの食べものに対する好みもいろいろと変わっていくことになります。
嫌いな味覚でも、少しずつ経験を積んでいけば食べられるようになり、おいしさがわかるようになっていきます。ついつい食べるものばかりを使ってしまいがちですが、食材の種類やメニューを工夫したいですね。
食事の習慣を身につけさせる
食事は栄養をとるだけでなく、子どもにとっては生活の中心であり、食事の行為を通して基本的な生活習慣を身につけるものと考えていきましょう。よく噛んで食べる、朝食を食べる、遅い時間の夕食をしない、食事の挨拶をするなど、子どもがよい食習慣を身につけ、自分の食べるものを選択し、食べることができる力を身につけること、つまりは「食生活の自立」をサポートすることが大切です。またパパ・ママが一緒に席についたり声掛けをしてあげると、見てくれていると思うだけで子どもは楽しく食べられますし、マナーよく食べようと思うきっかけにもなります。
がんばりすぎない
大人が楽しんで作って、楽しんで一緒に食べることから始めるのが、なによりおいしい食事になります。私自身も子どもが語りかけているのに「さあ食べて!」と脅迫じみた言葉を掛けていたことがあります。
がんばって作ったものはがんばって食べさせたくなってしまいますが、子ども自身が「食べることは楽しくて、幸せなこと。」と思えていることが大切です。手間の少ない食事ですませる、紙皿にして洗い物を減らす、周囲のサポートに頼るなど上手に息抜きをして、無理せず、心地よく過ごせる方法を見つけていきましょう。
おやつを選ぶときのポイント
おやつは第四の食事と考える
おやつというと「甘いもの」というイメージがありますが、3歳まではおやつは「捕食」と考えます。幼児は一度にたくさんの量を食べることが難しいので、食事で足りない栄養をおやつで補います。
健康的なおやつを選ぶ
バナナやりんごなどのくだもの、不足しがちなカルシウムを補う小魚やヨーグルト、牛乳などの乳製品、おにぎりなどがおすすめです。この時期に「甘いもの」を食べさせると甘さに対する感受性が鈍くなり、どんどん甘いものをほしがるようになることも知っておきたいですね。
他の3食に影響が出ない範囲で与える
食べることに意欲的になるには、満腹感と空腹感の両方を味わうことが大切です。空腹は何よりの調味料!おやつを食べ過ぎたばっかりに、食事に意欲をもてない、ということがないか振り返ってみましょう。おなかがすいていれば、集中しておいしく食べられるので「好き嫌いがある」「量を食べない」「落ち着かない」などの悩みも、少しずつ解消していくはずです。
幼児期の食事の困りごと
好き嫌いが多い
食べないからといって大人が食べさせない、料理をしないでは、子どもの食域をどんどん狭めてしまいます。また食べない野菜を細かく刻んでハンバーグに入れたり、カレーに混ぜて食べさせたりすることは栄養素の摂取はできますが、偏食の解決にはなりません。偏食を改善するには、食材そのものを感じて食べるということが大切です。まずは、ちょっとでも「食べてみようね」と促してみましょう。根気がいることかもしれませんが、少しでも食べられた経験を増やしていけば、食べることができるようになります。
また大人が見本になり「おいしい」と食べ、無理強いせず、食べたいと思わせる環境づくりをすることや、一緒にスーパーへ行ったり、料理をするなど、その食材に興味を持つきっかけをつくる、ときには環境を変えてベランダで食べたり、調理法を工夫することで嫌いなものも食べやすくなります。
遊び食べをしてしまう
大人から見ると遊んでいるように映るかもしれませんが、目で食べ物の位置や大きさ、形などを確かめ、手で食べ物のかたさや温度などを感じるなど、子どもは子どもなりに一生懸命食事の自立に向かっていろいろな学習をしています。また空腹で食事をむかえる、テレビを消したりおもちゃを片づけるなど食事に集中できる環境をつくることも大切です。3歳以降になれば「遊び食べ」は徐々に少なくなっていきますので、ある程度けじめをつけながら、上手に対応していきましょう。
食べるのが遅い気がつくと食事に1時間もかかってしまうことがあります。お腹がすいていなければ食欲がわかず、食べるのが遅くなります。遊び食べ同様、生活を見直ししっかり体を動かしてお腹をすかせましょう。それでもだらだら食べてしまう場合は、食事は30分くらいと時間を決めて片付けることも一つの方法です。食欲に波があるのは自然なこと、最初からスムーズに食事ができる子どもはいないと思えば、気持ちも楽になるかもしれません。
楽しんで食べる習慣を身につけよう
だんだんお手伝いもできるようになってきます。料理を運んだり、盛り付けをしたり、できることを見つけて少しずつお手伝いすることで食事の時間がわくわくしたものになります。パパ・ママと笑顔で囲み、会話をしながらの食事は何よりも、楽しくおいしく食べることができます。